「なんかカラスに話しかけられたんですが、カラス語わかる人いませんか!!!!」
7月20日、小樽総合デザイン事務局の公式アカウントがX(旧Twitter)に動画を投稿すると、約9.7万件の「いいね」が集まりました。
動画を見るとトドの解説パネルがある柵の上に乗って、ハシブトガラスが鳴き声をあげています。何をしているのでしょう……?
カアカアと鳴くのかと思いきや、猫や犬のうなり声のような「ゴロゴロ」という謎の声で鳴いています。
投稿者さんが撮影していることに気がついたのか、近づいてきて「カアカア」と鳴くと、また変な鳴き声で首を振り始めました。
その後もカアカアと鳴いたり、「ゴロンアー、ゴロンアー」と何か訴えるように鳴いたり、首を左右にフリフリと動かしたり、不思議な行動を繰り返しています。
撮影した方の話によると、動画のカラスは「おたる水族館のトドショーでのトドの動きも真似ているのではと思いました」とのことでした。もしかしたら、トドみたいに自分も魚をもらえると思ったのでしょうか。
撮影者さんが立ち去る瞬間も、まだ鳴いていたというカラス。人間に話しかけているとしか思えない行動にSNSでは、
💬「これは自分を飼育員だと思い込んでお客さんに一生懸命解説してますね」
💬「ずいぶんと甘えた声出してるじゃないの……」
💬「お友達だとおもったんかな」
💬「ミュージカル系カラスやなぁ」
💬「こんな風に喋るように鳴くことがあるのか」
など、いったい何をしゃべっているのか想像する人や、理由を知ろうとする人たちのコメントが寄せられています。
実は「トドの鳴き真似」。カラスにとっては遊びだった!?
謎に包まれたカラスの行動ですが、真実は意外とすぐ明らかに。7月22日、動画の引用リポストで専門家による解説がありました。
解説を投稿したのは、『動物たちは何をしゃべっているのか?』などの著書で知られる、東京大学准教授で動物言語学者の鈴木俊貴さん(@toshitaka_szk)。
鈴木さんによると、今回の動画の行動は「トドの鳴き真似」とのことです。
続くコメントでは「カモメの声真似も1回トライしていて(14秒)、このハシブトガラスにとっては遊びだと思います」とも書いています。話しかけてきたわけではなく、「遊び」で行なっていたのですね。
カラスの様子が気になったBuzzFeed編集部は、鈴木さんに詳しい見解を伺いました
――今回の動画以外で、鈴木さんご自身が知っている遊びやモノマネの事例があれば、教えていただけますか。
「線路の上でガッタンゴットンと鳴いているハシブトガラスをみたことがあります。また、カケスという別の種類の鳥の声をまねて、呼び寄せて遊んでいる姿も見たことがあります。カラスの遊びについては、ネットニュースなどで報告はちらほらあり、滑り台をすべったり、雪の上でソリ滑りをしたりするカラスもいるようです」
「僕自身、ハシブトガラスがヤマブドウの実をこっそり上空から人にぶつけるのも見たことがあります。服を汚され『誰が投げたんだ』と揉め事になっているのをカラスはじっと見ていたので、あれも遊びだと思います」
――カラスが、そうした「遊び」を行う理由は解明されているのでしょうか?
「遊びが何の役に立つのかはまだわかっていませんが、好奇心が強いため、遊びをするのだと思います。将来何らかの役に立つのかもしれません」
――遊びではなく、実際に「カラスが人間に対して話しかけてくる」ことはあるのでしょうか?
「たとえば巣に近づいたとき『カァカァ』と威嚇するカラスはいますよね。ですが、威嚇以外でカラスが人間に話しかけてくるという報告を僕は知りません」
「そもそも、カラスの言葉を人間が理解できないと、カラスとしても話しかけても意味がないです。なので、真の意味でカラスに話しかけてもらうには、まずは我々人類がカラス語をきちんと解明し、理解する必要があります」
・・・・・・
カラスの言葉はわかりませんが、その行動には理由があることがわかった今回の投稿。いつかカラス語が解明されて、本当に人と喋れるようになる日が来るかもしれませんね。